Googleの潰れる日

2010年4月1日。その日は唐突に訪れた。21世紀のITの覇者Googleが潰れたのである。どんなに大きなものでも倒れる時はあっけないものだ。


その出来事の10年に満たない年月前、Google検索エンジンと広告の組み合わせを発明し莫大な収入源を作り上げることに成功した。それを見た投資家たちは我先にとGoogleの株を求め、株価はまさに飛ぶ鳥を打ち落とす勢いで上昇し続け1000ドルに達した。もうひとつのITの覇者Microsoft時価総額で追い抜いた。


当時のGoogleには恐れることなどあるはずがないように皆思った。しかし強者の抱える脆弱性に、IT関係者のうち一部の人間たち、また他ならぬGoogle上層部の人々は気付いていた。


Googleの収益の大半(全てと言っても良いのかもしれないが)は広告収入であった。このことはすなわち、Web広告というモデルを脅かすもの(者でも物でも)が現われたなら、Googleの存続は不可能であるということだ。その恐怖から逃れるためGoogleは必死に他の収益源を探した。雑誌広告、ラジオ広告、企業向けシステムのアウトソーシングとなんでもやった。しかし、それらは微々たる収益を生むだけにすぎなかった。さしものGoogleでも広告に変わる収益モデルを導き出すことは容易ではなかったのである。


そんなGoogleの苦悶の日々の始まりは、4年前の2006年にさかのぼる。とある辺境に住む大学生が暇つぶしにヘンテコなソフトウェアを作った。そのソフトウェアを使うと、ユーザの変わりにどこの誰かも分からぬ者がそのユーザが管理しているサイトのAdsence広告をクリックしてくれる。


仕組みはこうだ。そのソフトウエアはブラウザを制御するソフトウェアで、いわゆるP2Pというやつで制御するブラウザ群を結びつける。ここであるノードが制御するブラウザでAdsence広告がクリックされると、P2Pのネットワークを何段か介してどこからのユーザが代わりにHTTPリクエストを送る。近いもので言えばTorである。
#毎回IPアドレスが代わるのでGoogle側は不正の検知不可能
#ランダムなdelayを使って自動化するようなサードパティーのパッチもすぐに出現した


その「ヘンテコなソフト」は作者の意に反して急速な勢いでアフィリエイター達に広まった。それを使えば何の苦労もなしに収入が増すのだから、誰でも使ってみようとするのは当然であった。


「ヘンテコなソフト」の出現でGoogleの広告事業は実質的に終わってしまった(同様に他のWeb広告事業も終わった)。企業達は投資の割にまったく成果のあがらないAdsence広告に出稿することなどもうなかった。そしてそれを見たGoogleの社員は他のフレッシュな企業に皆流れてしまった。この時ばかりは優秀な人間ばかりとった事が裏目にでた。優秀なだけに自社の将来性をちゃんと認識していたのである。恐竜達も、おいしい食事も、色鮮やかなボールも、もう彼らを引き止めることはできなかった。


それからのGoogleは必死にあがいた。しかし状況は変わらなかった。株価はあっという間に下落し、社員の流出も止まらない。


たかが一介の大学生に潰されるなんてGoogleは考えていなかった。








こんな無駄な妄想を
http://d.hatena.ne.jp/kanbayashi/20060115/p1
を書いている当時はしていたのだが不毛だからやめたという経緯があった。しかしWeb進化論を読んでいて、ひさしぶりに思い出したのでネタ記事ということで書いておく。


「ヘンテコなソフト」は誰か作りたかったら作って下さい。
#ちなみにTorの上に載っけても、それほど頻繁にIPは変わらないのでうまくいかなかったよ


作られるとまずいようだったら雇って下さいGoogleさんw。
#冗談だけど