事務所に向かうための日比谷線の電車の中。
ぼーっとつっ立っていていたら、席が空いたのでそこに座ることにした。
カバンから暇つぶしの本を取り出して読み始めると、肩に違和感を感じた。居眠りをしていた若い女性が、僕の肩によりかかって寝始めたのだ。
そのことは別に怒るほどのことじゃないし、たとえそうでも払いのけるような意気地なんてない僕なのでそのままにしてた。どんな顔立ちをした女性なのか内心では気にはなりながらも、わざわざ覗き込んで失望するのも嫌なので気にしないふり。
ほどなく僕とその女性を乗せた電車は目的地の六本木駅に到着して、僕はその電車を降りた。
あの後、顔も知らない彼女はどんな男の肩で居眠りしたんだろう。
もちろん、僕の後任が男だったとは限らないわけだけど。
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あー。文才ないな俺。