詩を眺める

昔紹介した(http://d.hatena.ne.jp/kanbayashi/20051230/p2)詩を眺めてみることにする。

自分の感受性くらい

                  茨木のりこ


      ぱさぱさに乾いてゆく心を
      ひとのせいにはするな
      みずから水やりを怠っておいて


      気難しくなってきたのを
      友人のせいにはするな
      しなやかさを失ったのはどちらなのか


      苛立つのを
      近親のせいにするな
      なにもかも下手だったのはわたくし


      初心消えかかるのを
      暮らしのせいにはするな
      そもそもが ひよわな志にすぎなかった


      駄目なことの一切を
      時代のせいにはするな
      わずかに光る尊厳の放棄


      自分の感受性ぐらい
      自分で守れ
      ばかものよ


さて、どうなることやら。